ケータイ小説 野いちご

Ri.Night Ⅱ

30.鳳皇と鳳凰妃




────…



「……暑い」



クーラーが効いてても暑いと感じるのはやっぱり夏だからだろうか。


それとも野郎二人と一緒に居るからだろうか。


何にせよ。



「暑い!!」



もうそれしか言えない。



「うるせぇ。梅干しでも食ってろ」



手をうちわ代わりにしてバタバタと扇ぐあたしを、煌がうっとしおしそうな目で見てくる。



「梅干し、あるの?」



そんな煌を一睨みし、冷蔵庫へ視線を向けると、



「りっちゃん、ちょっと待ってな」


あたしと煌の会話を聞いていたのか、彼方がソファーから立ち上がり、冷蔵庫へと歩き出した。


冷凍庫からいつものアイス“コップアイス 梅干し味”を取り出して、「はいよ」とあたしの方へ差し出してくれる。


ご丁寧に蓋まで開けてくれちゃって。


何だかんだ言って彼方も面倒見がいいよね。



「彼方、ありがとー」


そう言って鼻歌を謡ながらアイスを受け取ろうと手を伸ばすけど、いつまで経っても梅干しちゃんが手のひらに乗らない。



「ちょっと、何でくれないの?」



彼方は梅干しちゃんを左右に揺らすだけで手の上に乗せる気がないらしく、締まりのないニヤついた顔であたしを見下ろしている。


なんか嫌な予感がするんですけど。



「りっちゃん」


「何」


「お礼はギュ──」


「却下」


「何で!?まだ全部言ってないのにっ!」



キミの言いたい事は顔に全て書いてあるんだよ。


ショック!とムンクの叫びのようなポーズで一歩下がる彼方にハァと溜め息を吐き出す。



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