明央から電話があって3日後に帰ると連絡があった。

それまではひとり暮らしなのだ。

祥子は羽をのばすように、夜をのんびりと過ごしていた。


「明央先輩には申し訳ないけど、ひとりでこの部屋を使えるのはうれしいなぁ。
学校でも困ったことってそんなにないし。」


祥子は2日間、部屋の掃除や冷蔵庫内の私物などの整理をして翌日の買い物のことを考えながら眠った。


そして真夜中になってから、自分の胸元から声が響くのを感じて慌てて起き上がった祥子は、思わず目が点になっていた。


「う・・・そ・・・。どうして。」


「祥・・・おまえ、やっぱり・・・やっぱり。
女だったんだな。」


「明央先輩、帰りは3日後だって!」


「うるせぇ!とにかく、まずおまえから説明しろ!
それをきいてから、早く帰ってきた理由を教えてやる。」


「だからその・・・僕は・・・」


「おまえ、親戚の家にいった帰りも胸のあたりがふっくらしてたんだよな。」


「あっ・・・」


「そして甘い香りに男用の何かが混じってる感じで、違和感があったんだよ。
俺けっこう鼻がきくからな。

けど、兄貴のこととかあって問いただすのは後にしようと思ってた。
そしたら、おまえが今夜は色っぽく寝てるから、確かめたくなったんだ。」

「ま、まさか・・・先輩、私を・・・。」

「お、おそってねぇ!!!
俺はそんなけだものじゃねえよ。

けど、正直興奮してる。すまん。
若い男は仕方のないことだと無視してくれ。
シャツがめくれていたから、ちょっと下からのぞいただけだ。

そしたら男ではありえない、丸みが見えたから・・・その・・・。」


「や、やだ・・・エッチ!」


「うるせ~!だから、最初から襲うつもりじゃなかったって言ってるだろ!
だけど、俺は北天寮の代表だからな・・・管理者に確かめる必要がある。
それだけはわかってくれ。

それに、俺はせっかくおまえと同じ部屋になれて、個人的な相談までして、いい弟みたいなつもりでいた。
たとえ、それが妹だったとしても俺はまだおまえと分かれたくない。
もっと話がしたいと思う。
おまえはどう思う?」


「私もいつかはこんな日が来るんじゃないかと思ってたけれど、明央先輩ならわかってくれるんじゃないかって思ってました。」


「わけありそうだな。じゃ、管理者との話は少しのばすことにする。
ただ・・・ほかのヤツにばれるとまずいな。」


「ほかの人にはまだバレていません!たぶん。
先輩が黙っていてくれたら、私は・・・。

でも・・・雪貴さんに言ったらここを出ていくことになります。」


「おぃ、まさか雪貴って・・・佐伯雪貴か?」


「はい、そうです。
この寮に入る手続きも雪貴さんが・・・」