その日の放課後。

俺とケンは猛ダッシュで校門へとやって来た。


うちの学校の校門は3つある。

その他にも小さな出入り口もあるから、正直賭けと言ってもおかしくない。

だけど、電車に乗るならこの校門が一番妥当だと考えた。


しかも、校門付近や駅周辺で出待ち告白があるかもしれないと予想して、俺1人では無理だと考えたんだ。

万が一、俺が女の子に掴まってもケンに尾行させて、女の子から解放されたらケンと合流すればいいと思い立った。



今日の出待ちは無さそうだ。

校門を出て、少し離れた自販機の傍で女が出て来るのを待ち構える事にした。


「ケン、何飲む?」

「奢り?」

「あぁ、好きなのを言えよ」

「じゃあ、コーラ」


7月初旬の夕方は蒸し暑くて死にそうだ。

ケンにコーラを手渡し、自分用にお茶のボタンを押すと――――。


「シュウ、来たぞ」

「ッ?!」


――――ビンゴ!

やっぱり、この校門で正解だったようだ。


俺はすかさずお茶を取り出し、ケンと他愛ない会話をしながら尾行を開始した。