留貴に告白されてからしばらく経ったけど、私と留貴は今まで通り。


多川さんの告白は、ちゃんと断った。
それを留貴に話すと、嬉しそうな顔をしていた。


その顔を見て、ドキッとした私。
このドキッ、は…留貴から告白されたせいなんだ、きっと。


弟みたいな存在だと思ってたのに。
最近は、弟だと思えない。


留貴も、男の子なんだよなあ。


でも、10歳も年離れてるんだよなー。
年上への、ただの憧れなんじゃないのかな?


なんて考えたりしてみたけど、私はぶっちゃけ、留貴に年上らしい事をした覚えが無い。


留貴と初めて会ったのは、留貴が3歳の時だった。
私は中学生で、学校から帰ってきたときに、玄関で出迎えてくれた、知らない男の子。


隣に引っ越してきた子だと、両親から教えてもらったけど、知らない間に弟ができたんじゃないかってビックリした。


留貴の親は、共働きで、昔から仕事が忙しいみたいだった。
弟みたいな存在が出来た私は、うれしくって学校が終わったら留貴を保育園に迎えに行って、家で一緒に遊んだなあ。


迎えに行ったら、留貴は嬉しそうにかけよってきてくれた。


留貴の親に頼まれたわけじゃなくて、私が留貴の親に頼んだんだった。
「助かる」なんて言われたけど、助けるつもりはこれっぽっちも無かったな。


留貴が幼稚園に入ったときや小学校に入ったときは、学校をさぼって入園式と入学式を見に行って、先生と親に怒られたっけ。


留貴が中学の入学式は、私は社会人だったから休みを取ろうと思ったのに、留貴は「来なくていいよ」と言った。
そんな留貴に内緒で、入学式に行ったら、今度は留貴に怒られた。


ただ、私が留貴の晴れ舞台を見たくって、行っただけ。
姉というより、お母さん気分?