Act,2【馨視点】


……つい、言ってしまった。

言わないでおこうと思っていた
こんな風に抱き寄せることも
二人で会おう、だなんて恋愛感情を悟(さと)らせるようなことも
決してしないと心のなかで誓っていた。



変に「本気」ということを知られてしまうと

俺と、雪菜ちゃんと羽鳥のこの居心地のよい
“幼なじみ”という関係が壊れてしまうのではないか




――――だけど、今は、なぜか体が先に動いた



(俺はいつからこんなに臆病に…この子に対して、本気になってしまったのだろう)