ケータイ小説 野いちご

異世界にトリップしちゃいました

ディナータイム!
もう一人の王子様



誰の目にも届かない物影へ行くと、シオン様は
更にその口元に作り笑いを浮かべた。


「ねぇキミ。なんで作り笑いってわかったの?」



なんだ、そんなことか。


「失礼ですが、シオン様と昔の私がよく似ているからです。」


「へぇ。僕とキミが?」


シオン様が挑戦的に笑う。

「はい。信頼できる友もいない。だからといって、家族に悩み事を話すこともできない。違いますか?」


「ッツ!」


シオン様の笑みが一瞬歪んだのを見逃さず、すぐさま続ける。


「そんな弱い自分を隠すために作り笑いを浮かべる。昔の私もそうでしたから。よく覚えています。」


「今は?」


シオン様が尋ねる。


「今は何故、あんなに無垢に、純粋に笑えるんだ?」


私は息を大きく吸ってから言った。


「私は、信頼できる友を見つけました。」


「じゃあ・・・」

シオン様は俯いたまま呟く。

「じゃあ僕は、俺はどうすればいいんだよ!
 信頼できる友なんかいない!王子だという立
 場以外、何の取り柄もない俺は!一体どうし
 らっ「私が!」


シオン様の悲痛な叫びを上回る大声で、話を遮った。


「私が!あなたの友になります。辛いときは肩を貸します。悩み事があればいくらでも聞きます!だから!」


一度言葉を切り、シオン様の手を握る。


「頼っていいんです!誰にだって、助けを求める権利はあります!」

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