・・・・・・・・・・・・。


なん、だろう・・・・・・?



浅い意識の底で、ふわりと、包み込まれている感覚がした。


温かい何かに、優しく抱きしめられているような。


髪と頬に、なにかが何度も触れる感触がする。


すごく柔らかくて、とても温かいもの。


なんだろう、これ。


まるで・・・・・・


まるで、そう。唇みたい。



髪と頬に、繰り返しキスされているような感覚・・・・・・?



「ん・・・・・・?」

「佳那、起きたか?」

「あれ・・・・・・? 祐輔?」



目の前に祐輔の顔があった。


あたしは寝ぼけた頭で、キョロキョロと周囲を見回す。


中庭のあちこちが、濃い影に覆われている。


気が付けばもう、薄暗くなってしまってる。


向こうの大窓の上に、小さなライトが点灯していた。


もうこんな時間なの?


いつの間にか寝ちゃってたのか・・・・・・。


隣には制服姿の祐輔が座っていた。


寝起きでボンヤリしているあたしの顔を見ている。