「涼音ん家、山つっきりゃ案外近いかもな」



「あー、ね。完璧に山で断絶してるよね」
 



涼音と麗音の――親戚関係でも何でもない若月家は、二つ離れた部落だった。



間に小さな山を三つほど抱えていて、車用の路はコンクリートで整備されているのだが、

そこには歩道がなく街路灯のないため、二人は安全を考えて昔からある農道を使うことにした。



時間は少しかかってしまうが、歩きでは滅多に使わない道よりはいい。





「涼音、一応謝っておこうか?」



「何を?」