――ここに来ると、思い出す。


 大切な3人との過去を。


 もう戻っては来ない、わたしたち4人の日常を――……。


「今日も綺麗だね?」


「そうだなあ」


 夕暮れに身体を染めて、ほのぼのと会話をするのは、ミヅキとカナ。


 ここは、わたしたち4人にとって、思い出の場所。


「ね、ふたりもそう思うでしょ?」


 屈託のない笑顔で少し後ろにいたわたしとイチに投げかけたのは、ミヅキ。 


 ここに来るたびに聞くセリフに苦笑しながらも、綺麗なのは本当だから頷く。


 隣を見れば、イチも困ったように笑ってた。


 わたしたちの答えに満足したように、ミヅキはにこりと笑み浮かべ、隣に座るカナに寄り掛かった。


 その姿に、胸がちくりと痛んだけど、それに気付かないふりをしていた。


 わたしが“ミヅキ”と呼ぶ彼女の名は、高梨 美月(たかなし みづき)。


 一卵性の双子、わたしの片割れ。


「葉月(はづき)、イチもこっちおいでよ」


 そうわたしたちを促したのは、“カナ”こと、夏目 奏汰(なつめ かなた)。


 カナの言葉を合図にそこに向かうわたし、隣に並んで歩きだしたのは、岸 壱成(きし いっせい)。


 通称、イチ。


 わたしたちは小学生の時から仲が良かった。


 中学でもそれは変わらずに、クラスは違えどいつも一緒にいるメンバーだった。