◇◇◇



女なんてめんどくさいと思ってるのは、私だけじゃないはずだ。



群れてないと皆不安で、全部の行動を共にしなければならない。

違う行動をとると、変わった目で見られる。


実にめんどくさい。



「みい、売店一緒に行かない?」

「帆音ちゃん!」


化粧ばばあ。

心の隅でそう思いながら、腐った笑顔を向ける。


売店くらい一人で行けよ。

私は弁当もちなんだってば。


そう言いたいのを飲み込んで、行ってやる。



「美澤さーん」



いきなり呼ばれて振り返ると、チャラいが第一印象の男だった。

同じクラスだけど、名前は確か…。

「えと、だ、誰ですか?」

「浅間だよ、覚えてないの?」


あぁ、そんなんだっけか。

気持ち悪い笑みをはりつけて、じろりと身体を舐めるように見られる。


「ご、ごめんなさいっ」

「ねぇ美澤さんさぁ、彼氏いないよね?」

「……」


いる、五人ほど。


「いません…」


清純派なイメージを崩さないように、眼鏡をかけ直す。

「だよね?今日さ、暇?」

「…すみません、後でにしてもらえますか?ご飯買いにいくので、えっと…」