「杏珠ー、お前どこ行ってたの」



「‥‥‥誰かさんのせいで、汚れた手を洗いにお手洗いまで」




「もー限界。腹へった!早く弁当食わせて」




‥‥‥無視かい!!!




暗くなってしまった雰囲気を取り除くように、もういこう!と明るく振る舞った私をただひたすらエリカは何も言わず、微笑んでくれた。




あまり、触れて欲しくないこと、エリカは分かってる。




ごめんね、心配かけて。






諦めがつく時がきたら、すっぱり忘れるから。


それまで待っていて、エリカ。



直接なんて、恥ずかしくて言えないから心の中でそう呟いた。





「早くー早くー」




「うるさい!」





早く早くと騒ぐ緋色を睨んで、鞄から二人分のお弁当を取り出す。




そう、緋色のお弁当まで私が面倒をみている。