ガタンゴトン
電車に揺られる。
でも、今度は、特急列車のゆったりした座席。
隣にはカナ。
これなら、バスよりも揺れないし、わたしも酔ったりしない。
窓の外の景色は、さっきより速く流れている。
でも、窓の外の景色より、
カナとつないだ手のぬくもりの方が気になって……。
「……で、何で一人で行こうと思ったの?」
聞かれて、
「高校生にもなって、電車に乗ったことがないなんて、おかしいでしょう?」
と言ったら、笑われた。
「そんなの人それぞれだろ」
そりゃ、そうなのかも知れないけど……。
「それに、何も初めて乗るのに、ひとりで行くことないだろ」
「ん? なんで?」
「オレだって、初めての時は、親と一緒だったって」
「……そういうもの?」
「そう。そういうモノ」
カナが呆れたように、でも仕方ないなぁというように暖かく笑って、わたしの肩を抱き寄せた。
カナ。
だから、恥ずかしいってば。
あの告白の日以来、カナは学校でも平気で、わたしの頭をなでたり、手をつないだりする。
でも、わたしは、なかなか慣れなくて、
そのたび、顔が赤くなってしまって、からかわれる。