【桜彩side】
かじかむ手を擦り合わせながら、薄暗い街灯の道を歩く。
季節はもう秋の終わりかけ。
冬到来って感じ。
いつも通り誰もいないマンションに一人で帰宅する。
「ただいまー………えっ?……ママの靴?」
ショッキングピンクのピンヒールが真っ白の玄関に揃えてある。
確か地方に撮影で2週間帰って来ないんじゃなかったっけ?
でも帰って来てくれて嬉しいからいいや♪
「ママ~!ただいま!それと、おかえり!」
「あっ……さ、桜彩!ただいまっ……」
「…どうかしたの?」
「ちょっとママと話しない?そこ、座って」
不思議に思いながら、ママの向かいに座る。
なんか変………。
キレイに整えられたキラキラした長いネイル。
その指で裏返しにされている写真を5枚ほど、テーブルに置いた。
あたしの心臓がドキドキと高鳴る。
なんだろう………この嫌な予感。