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脱出
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当馬さん
脱出/著

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ーー春は出会いの季節ーー とか言うけど私にそれは関係無い。高校2年目の春はあまりにもショボすぎた。 最近凄く感情的になる自分が嫌で仕方がないのはきっと友達の恋愛論を延々と聞かされていたからだろう。 午後6時前、今パジャマでカップラーメンをすすっている自分は一体何なんだろうか。 私こと当馬加那は金目高校2年のバリバリ帰宅部だった。そこまで近くもないこの高校に来たのは自分の知能の問題でもあるのだが、『自分変われるかな?』なんてロマンチックな事を心の隅で考えていた。今思えば少女漫画の読みすぎとしか言いようがない。 でも高校に入って変わった事なんて、身長と体重位で髪型は伸ばそうと決心したけど面倒臭くなって結局中学校の時と同じになってしまった。 友達はそれなりに出来たのだが、『彼氏』は出来ていない。正直言うとモテたかった。本当に切実な願望だ。 「高校入れば私みたいなグータラな人を好きになってくれる人いるかな?」「うん!加那ちゃんなら大丈夫!!だって面白いもん!!」「男は星の数程いるんだから!!」「私多分出来ないだろーなぁー」といった友達とのやり取りは今でも忘れない。気休めでしかない言葉を一生懸命反芻して自分を励ましまくった。きっと自分が好かれないのは相手に見る目が無いのだ、と暗示をかける痛々しい日々が続いた。 だが、結局私を励ました二人は入学して1ヶ月以内に既に男を手玉にしていた。 地味に辛い話ではないだろうか。 こういった(私にとっての)裏切り行為が何度か起きている。 そんな私に遅すぎる春が訪れようとしていた。 告白されたのだ 数学担当の新米教師にーー

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