かわせつきひとさんのレビュー一覧

★★★★★
2016/12/11 20:37
夕焼けと田無タワー

伝えなくちゃいけない想いがある。でも時には伝えちゃいけない想いだってある。夕焼けで鮮やかに映える田無タワーの向こうに、色んな想いを彼は託したのだと思います。読み終えた後、田無タワーへ行きたくなりました。きっと情緒溢れる場所。

続きを見る
★★★★★
2016/11/14 23:01
悲劇の後こそチャンスが訪れる。

お話序盤から一生トラウマ物の悲劇を体験し、そのまま真っ逆さまに奈落の底へと転落するヒロインですが、しかし捨てる神あれば拾う神ありとはよく言った物で、こんな時こそ本物のヒーローが現れるのです。 恋愛がいつも上手く行くとは限らない。でも破局を経験したからこそ次に手にした恋愛に愛おしい重みを感じられるのもまた恋愛の醍醐味だと思います。 お互い悲劇を経験した者同士が、心傷を乗り越えて手探りで気持ちを伝え合う様子がとても良いです。 筆者様が贈る、2度目にして本物の幸せを掴むヒロインの素敵な物語、どうぞ御堪能下さい。

続きを見る
★★★★★
2016/11/09 19:46
この作品のテーマ『約束』(勝手ながら)

冒頭から乱暴なシーンで始まる物語ですが、でもこの出来事が二人の恋の始り。恋人関係及び夫婦関係は、互いが互いを金銭的、もしくは心を豊かにする際の大切な『契約』のような物であり、なので報酬を得る代わりに双方が惜しみ無い労力を要求されます。 この作品に登場するヒーローは、仕事と恋に徹する姿勢が人並み外れて非凡です。目的を達成する為には、時には冷徹に、しかし一方で真心を持って真摯に向き合う、今時珍しい侠気溢れるナイスガイです。がしかし、こういった男と向き合う女性は日々悩みが付きもの。そんな姐御肌ヒロインの葛藤と心の強さもこのお話の見所です。 でも本当の見所は物語を締め括るラストシーン。人が誠心誠意推し進めて結ばれた契約が、こんなにも温かく美しい物だと、目にした方は実感する筈です。是非御一読を。

続きを見る
★★★★★
2016/10/28 20:39
獲物は狡猾に、そして確実に仕留めるべし。

……なんて、レビュータイトルだけ読むとまるでハードボイルド作品のレビューですが、でも本当は素敵な恋愛短編です。人は、普段活動する環境や世俗的な話題、または辛い過去体験等に捕らわれ、時に本当の自分自身を見失うもの。そんな歯痒い現状に一人葛藤し、そして明るい未来を思い描きながらも、その第一歩がなかなか踏み出せない時、 いつも狡猾に、更に強引に、そして意表をついて優しく説き伏せてくれる、作中に登場するヒーローのような存在を女性達は待ちわびているのかも知れません。 1ヶ月間でヒロインを口説き落とす約束事でしたが、でも余裕たっぷりな態度とは裏腹に、本当は願うように過ごした不安な1ヶ月じゃないかな~と同じ男子として感じました。そこもヒーローの魅力。 素敵なtrickを見せて頂きありがとうございました☆

続きを見る
★★★★★
2016/10/20 20:20
遠くからずっと君を見ていた。

ヒーローの要君目線で語りますが、他者に好意を抱く想い人を自分に振り向かせる事は、当然ながら困難な事と察します。自身の想いなどは勿論知らない彼女は、意中の相手への溢れる想いを時おり口にし、同時に悩ましい視線をそこへ向ける、残酷な光景を要君は度々目にしてきた筈。 そんな光景は見たくない。けど見ずにはいられない。だって君がずっと好きだったから。 気持ちを伝える事がとても下手で、おまけに恋愛の順序立ても人一倍無器用な要君ゆえにジレジレ感満載のお話でしたが、でもだからこそ、お互いの気持ちが通じあった時の爽快感はとても気持ちよく、そしてタイトルにもありますが、二人の気持ちは正に『直線的』。とても素敵な作品でした。

続きを見る
★★★★★
2016/09/22 08:48
自分らしさ

人間って、常に理想の自分を思い描き、それを演じる事で心に安堵をもたらす所があると思うのです。僕の場合は日頃の自分に課せられた仕事に勤しむ事で、支える立場だから言える事、その立場だからこそ言える事に安堵して心のバランスを取っている所がありますが、筆者様の場合はまた違う目線を感じました。 忙しい日常に苛まされ、思い描く理想から少しずれてしまった自分を、彼女達のお陰で軌道修正出来たならとても良い事だな……なんて感じました。

続きを見る
★★★★★
2016/09/14 08:20
最悪から転じて最高の歩みへ

冒頭から、いっぺんに2つも大切な物を失い、失意のどん底にいたヒロインを目の当たりにしましたが、でも、これまでの人生の歩みで、辛いことを経験した読者なら、ごく自然に彼女に共感出来るのではと思います。そう、だって世の中の人達は、躓く人の方が圧倒的に多いのだから。 ジャンルはいわゆるオフィスラブですが、でも明紫さんが綴る作品にはいつも大切なテーマが見え隠れする。 壮絶なほど悲しい経験をした後、人などもう信じられずに、いや、もはや自分でさえも信じられないほど自信を喪失した渦中にあるとき、こんなにも自分を温かく肯定してくれる、こんなにも自分を特別に見いだしてくれる言葉が、作中のあちこちに素敵な言葉でちりばめられています。 絶対にいい作品なので、是非一読を。

続きを見る
★★★★★
2016/07/01 19:03
道途中、一人憂う咆哮のような……

人はよく人生を大海原と例えるけれど、しかし、誰しもが正確な羅針盤を持っている訳じゃない。見渡す限りに広がる潮の動きを頼りに、または肌に感じる潮風の方角を頼りに、自分の信じた海路を、頼りないオールを片手にただ黙々と進むだけ。 筆者様の綴りを眺めながら、この旅の終わりに、胸を張って生きたと自負出来る気持ちになれれば良いなと思いました。もちろん僕も含めてね。

続きを見る
★★★★★
2016/06/30 19:25
幸福の形は人それぞれ。

人が生まれつき纏う幸せ頻度は、どうやら人それぞれバランス良く出来ているようで、現世でイマイチ冴えない日常を送っていた女性は、その分、異世界ではゴージャスな日常を送れるようです。 作中のヒーローであるウィルを観察するとよく分かるのですが、まさに『惚れた方が負け』と表現するのがぴったり。女性として産まれたのなら是非こんな風に扱われたい……と願う理想像が、作中のあちらこちらに垣間見えて、読み進める毎に心踊るような気持ちになれること受け合いです。 読後感も最高でした。素敵な作品をありがとうございました♪(*´∀`)

続きを見る
★★★★★
2016/06/15 20:09
ネタバレ
恋の決戦の火蓋は彼女への想いから切られた

レビューを見る
★★★★★
2016/04/05 19:22
これぞハードボイルド!

渇ききった私の心を潤せるのはお酒だけ。本当はいつも人恋しくて、細やかでもいい、優しい言葉をかけて欲しいだけなのに、でも脆くて臆病な自分をひた隠す癖で、どうしても素直になれない、そんな、やさぐれこじらせ女子。 こんな強情な女を口説けるヤツは、いつだって若くて怖いもの知らずの血気盛んな若者なのだ。君の熱い情熱で、硬く閉じられた彼女の心の扉をこじ開けろ。 いや~格好良かった。こういう世界観を久し振りに堪能しました。

続きを見る
★★★★★
2016/04/03 12:04
心を込めたスイーツで綴る想い。

失恋の痛手がまだ拭えぬまま、自身の足りなかった部分と例えようも無い喪失感を憂う日々。でも一方では、大好きなスイーツを糧にこれから進む道を明るく模索する。そんなヒロインと、 未熟な技量が(と思い込んでる)自身のメンタルや生き方にまで悪影響を及ぼしてしてしまう、優秀なのに、でも今一つ自信が持てないパティシエヒーロー……とでも紹介すれば宜しいでしょうか? 個人的にお薦めする見所で、作中に幾度も登場する様々なスイーツの、“味覚″“視覚″を通して、二人の想いが少しづつ交差して伝わってくる様子がとても新しいと思いました。 読み終えて、甘くとろけるように伝わる素敵なエンディングと共に、まるでスイーツバイキングに足を運んだ後のような満足感が味わえる、とてもお得な作品でした♪(’-’*)

続きを見る
★★★★★
2016/04/02 08:12
4月1日に授かる結婚指輪

エイプリルフール。確かに嘘を言ってもいい日ではあるけれど、でもその嘘加減がとても難しい。 作中で飛び出す嘘は、言っちゃいけない境界線を確実に越えてる嘘。読みながらヒーロー、ヒロイン共に当事者の立場に立って考えてみたけど、とても心臓に悪かったです。 結婚指輪まで嘘じゃなくて良かった。

続きを見る
★★★★★
2016/03/16 20:12
ネタバレ
この価値観、久し振りに拝見したかも。

レビューを見る
★★★★★
2016/02/16 21:40
THE・明紫マジック!

この作品を数ページ捲ると、きっと誰しもが、そこで目にした舞台設定に驚く筈。 だって、この環境から始まって素敵な恋愛に発展するってどうしたって考えにくい。知ってます?世はオフィスラブ全盛の時代ですよ? でもご心配無く。これが明紫マジックなのです。読み進めると、きっと誰しもがすぐ気が付く筈。タイトルの『弾む』の名の通り、恋をする喜びから一転、不安、苛立ち、安堵から悲しみ、そしてまた怒涛のように押し寄せる歓喜。……とまあ、こんな具合に次々と喜怒哀楽が文章に溢れています。 この作品を読み終えた後はきっと、どんなオフィスラブを読んだ後よりも、それ以上の豊かな読後感が感じられる筈。 個人的にイチ押しなのは、作中に登場するヒーローの口説き文句。我ながらびっくりするほどテンション上がりました。誰か共感して欲しい。

続きを見る
★★★★★
2016/01/28 21:18
ネタバレ
自分が望む未来を勝ち取る為に。

レビューを見る
★★★★★
2015/12/24 21:14
身も凍るような寒い夜だから

話の冒頭から織り成す、まるでモノトーン越しの情景を見ているような不思議な世界観に引き込まれました。 人に何かを伝えたがる作家ほど心の内に何かを抱えてるのかも知れません。作中の彼のように。 切ないような、悲しいような、ただ見ているだけで抱き締めたくなるような、世の中にはきっとこんな恋だってあると思うのです。 散りゆく銀杏並木を見て人恋しくなった時に拝読すれば、きっとどこか共感する場面もある筈。まさに聖夜にぴったりの作品でした( ´∀`)

続きを見る
★★★★★
2015/12/15 21:23
テーマ・心の洗濯

『あの人はとても優しい人だ』と言う会話をよく耳にしますが、でも、生まれつき優しい人と、一方、胸を焦がすような哀しみを克服してきた人とは、優しさの深みがまるで違う。 傷心の渦中にあるヒロインにも勿論自身を投影して読んでいましたが、でもそれ以上に、彼女が置かれていた素敵な環境にとても感激していました。 心地の良い海風がそよぐ白い浜辺、そして青い海。自身の対極にいる天然ヒーロー、そして何と言っても作中に登場するあの方。きっと、心のリハビリにはうってつけの場所。 たった3ヶ月の体験。でも彼女にとっては、これからの人生を歩むための大切な糧になる筈。なんて優しいお話。そして終わり方もベタベタせずニクい感じで良かった。 読んで良かった。

続きを見る
★★★★★
2015/10/04 22:00
斜めに読むから見えてくる童謡の真実

月並みな話ですが、例えば坂本龍馬は英雄なんかじゃなくて本当はただのスパイだったとか、また例えば、伊藤博文は色恋事が多すぎて、奥さんの死ぬ間際の遺言に『あの人と一緒の墓には入れないで』って言われた事とか、歴史は斜めから紐解くと、ちょっと変わった楽しみ方が出来る。童謡だってきっと同じ。こんな真実があってもきっと面白い。 最後の鏡さんの台詞がとても印象的でした♪(*´∀`)

続きを見る
★★★★★
2015/10/02 21:46
読み終えて胸が透くような作品でした

作中では、とある学校の中でのごく小さな世界で表現してますが、でも、これは僕たちの日常に溢れている解決がとても難しい問題。 人はとかく弱いものらしく、例えば人種が、社会的地位が、学歴が、勤務している会社が、住んでいる場所が、その佇まいが、身に付けている装飾品が、保有している車が……等々、少しでも他人との優越にすがっていないと、自身の存在を確認出来ないものらしい。 そんな閉塞的な世界で、自分の本音をさらけ出す勇気。泣きながらでも良い、怯えてたって震えてたって、逆に怒りのまま叫んだって良い。 志は各々違えども、心に秘めた何かを伝えたい者達が集う、小さな小さなクーデター。 これで何かが劇的に変わる訳では無い。ただ、そうする為に強くなる第一歩、明日をもっと良い日にする為の第一歩を歩む清々しさ、そんな事を作品を拝読しながら感じました。 いいよさん天晴れ。

続きを見る
pagetop