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あの頃の君は、まるで別人だった。
かえる
/著
総文字数/0
恋愛(学園)
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1、君との再会 窓から光が差し込む。 「はぁ...」 今日は高校の入学式だ。これまでの15年間の人生の中で親友、いや、友達なんてできたことはなかった。 あいつ以外は... 高校の入学式といえばドキドキやワクワクで胸を膨らませている人が多いだろう。 でも私の胸の中は憂鬱でいっぱいだ。 どうこう考えてる間に、時計の針は7時30半を指していた.... 「以上で入学式を終わります。」 入学式が終わった。次はクラスでの自己紹介。私の苗字は『渡辺』だから、1番最後だ。 とうとう自分の番になってしまった。ゆっくりと椅子から立ち、口を開いた。 「渡辺もあです.. 好きな食べ物はモンブラン...趣味はお菓子作りです... よろしくお願いします....」 お菓子作りなんかしたことない。でも友達を作るために、嘘をついた。 「じゃあみんな、自己紹介したな?」 先生がそう言った時、 「あの....俺、まだしてません...」 その瞬間さっきまでざわついていたはずの教室が一気に静まり返った。どうやら相当存在感がないようだ。 「渡辺陸人です..好きな食べ物と趣味は特にありません.. お願いします。」 陸人..? 中学の時に1人だけ親友と言える人がいた。 それが陸人だ。でも陸人は卒業の1ヶ月前に親の転勤で引っ越した。 その時私は陸人のことが好きだったから、どこに引っ越すのか何回も聞いたけど、教えてくれなかった。 『すぐ戻ってくるから。 それまで待ってて。』 そう言って行ってしまった。 なぜあの時引っ越し先を教えてくれなかったのか、なぜ引っ越すことを早く教えてくれなかったのか。聞きたいことはたくさんある。 「よし」 休み時間になってすぐに後ろを向き、陸との方を向いた。 「陸..人..?」 と、呼びかける。 「はい..? 渡辺さんでしたっけ?」 と、あたかも私のことを知らない人のように返事した。 「もあだよ! 覚えてないの?」
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