―もっと、刺激的な恋を。―

ー24歳の夏。 私は県の新聞記者の方からインタビューを受けていた。多くの人にこの病気を知ってもらう為に1冊の本として出されるそうだ。 すると、林田さんは静かに口を開く。 『…ここが思い出の場所ですか？』 『はい。小さい頃によくここに来ては、2人で秘密基地を作っていて…とても、懐かしいな。』 キミとここで誓った約束の場所。 そして、出逢った所。 決して忘れないこの想いは、まだ心の中にキミが居るみたいで。 『ここで約束したんです。この先何十年経ったとしても、離れていたとしても想いは繋がってる。だから、大人になってここで再会しよう。って。』 勿論その約束は叶わなかったけれど。 …静かなひぐらしの鳴き声を聞きながら、キミとここで約束を交わしたんだ。 キミの優しい声と暖かい笑顔に私は何度救われたんだろうね。 キミにとって私は"最高の彼女"になれたのかな。 …また逢いに行くからね。 そして約束の日にここで待ってて。

｢…はいこれ！｣ そう言って私の薬指にはめてくれたお花の"指輪" でも、指輪はただの指輪じゃない。 …そう、"魔法の指輪" ｢なあにこれ？ゆびわ？｣ ｢まほうのゆびわだよ！｣ …キミと2人で蛍を見ながら過ごしたあの日。 …私の人生を大きく替えてくれたキミ。 沢山の魔法を見せてくれたよ。 幸せが毎日続く訳ではなかったのに… キミの存在が誰よりも大きくなって、気付けば"恋"してたよ。 もう一度キミと蛍が見れたら。 キミとまた出会えるなら。 もう一度、好きと言えるなら。 …もう、何も望まない。 キミから贈られて来た花の言葉を私は忘れない。 最後に交した約束を叶えられるのは。 …"私だけ"だから。

ー18歳。 何もかも諦めていた私を救ってくれたキミ。 『俺はいつでも味方だよ。』 そう優しく微笑んで言ってくれるキミ。 声も表情も笑った笑顔も世話焼きなところも全部、全部が愛おしくて。 『ずっと一緒だよ。俺と結婚してください。』 まだあの時のプロポーズは、忘れられないよ。 …ずっと一緒が当たり前だったら…。 もう一度、キミと隣で笑ってられるなら。 もう一度、キミに触れることを許されるなら。 …ねぇ、けんちゃん。消えないで。 キミの居ない世界なんて苦しいよ…。