「しっかし、驚いたねー! ミドリガメが5万円よ。5万円!」

大荷物を抱えたお母さんが、居間に入って来るなり盛大なため息を付いた。

両手に持った大きなビニール製の買い物袋を床に置くと、対面式になっているキッチンの冷蔵庫から、みんなの飲み物を出し始める。家の中はそうでもないけど、外は、けっこう暑いみたい。

「俺は、ゾウガメの65万ってのが信じられん……」

『見てはいけないモノを見てしまった』と言うように、お父さんは呟いた。

――お父さん。もっと高い亀、いるよ。

私たちみたいな水棲亀じゃなくて、陸ガメだけどね。

きっと、目が飛び出るよ~。