思わず、甲羅に引っ込むのも忘れて金縛り状態になる私。その巨大な目から、目が離せない。 すると、すっとその目が水槽から遠のいて、その全貌が見えた。 水色の作業服の、背の高い男の人。 お、お父さんじゃん! 「おい。亀!」 お、おい、亀って、お父さん、仕事に行ったんじゃなかったの? 驚かさないでよ、もうっ! 「ほら、食べなー」 そう言って、プラケースに何かをパラパラ、ばらまいた。 ……って、これ、干しエビじゃんっ!!