コロン。 「あ。ちびちび見っけー! お母さん、ちびちびいたよー!」 「あら、まあ」 お母さんの、ほっとしたような、それでいてあきれた声に、私は甲羅に引っ込めていた頭を、目の所まで少し出した。 上がっていた体温が、雨水で一気に下がったために、身体が言うことをきかない。 「雨樋に引っかかっていたのねぇ。雨で流されたから、甲羅が割れずに済んだんだわね……」 お母さんの大きな温かい手のひら。 その温もりを感じて、なんだか涙が出たよ。