首をにょーんと伸ばして周りを見渡すと、ぎりぎり壁の向こうが見えた。 目の前には黒い屋根の瓦。 その勾配の上にはベランダ。 そして、そこにある洗面器。 「ああ、そうか。雨樋に引っかかったのか……」 どうやら、屋根の雨樋にちょうどすっぽりはまって、命拾いしたらしい。 私って、結構、悪運強いのかしら? 「ちびちびちゃ~ん!」 「私は大丈夫。それより、猫はどうしたの!?」 「ちびちびちゃんに噛まれて、びっくりして逃げちゃったー」 あはは。 窮鼠猫を噛む、じゃなくて、窮亀猫を噛んじゃった。