「そうそう。本来あるべき姿だよ~ん」

ん?

妙に間延びした声が聞こえて、私は振り返った。

目の前には緑色の細長い大きな鼻面。それがかぱっと上下に開いて、ピンクの洞窟が出現した。

何故かその洞窟の上下には白い鋭い刃が生えている。きりきり尖っていて、あんなのが刺さったら痛そうだ。

「いっただきまーす!」

その洞窟が、しゃべった。

「って、ワ、ワニっ!?」

きゃー! きゃー! 食われるうっ!!

私は、力の限り水をかいた。

でも、かいても、かいても、全然前に進まない。迫り来る凶悪な、ワニの大きな口。

「た、助けてー!!」