「ちょ、臣さん!髪の毛ぐしゃぐしゃになるっ」
「くすぐったいよ」
「ハハッ、悪い悪い。つい、な」
そう言った臣さんは少しさびしそうな顔をした気がした
でもすぐにいつもの明るい優しい顔に戻ったからよくわからない
「おっ、そろそろアシカショーが始まる時間だな。
行くか!」
「うんっ!」
「行こう、葎、臣さん」
俺は二人を置いて駆けだした
今はこの時間を楽しみたかった
「梓、そこ右!」
後ろから臣さんの声がした
声の通りに右に曲がればアシカたちがずらりと並んでちょうどパフォーマンスの始まるところだった


