「あのな…実は、俺、来週この街から引っ越すことになってるんだ…。」

「え、。」
そう彼女に告げた時、彼女は一瞬戸惑った顔をした。でも、すぐに笑顔を見せてくれた。……無理に笑っている。そんなことは直ぐに分かったのに…。どうしようもない現実に何も言えなかった…。


「そ、そっか…りゅうちゃん…離れちゃうんだね…。」また、無理に笑ってる…。

「会いに来るから!また、!絶対に!会いに来るから……」
俺の目からは涙が溢れていた。

「うん…!」
ニコッと笑った彼女の目からも涙が滲んでいた。

「サヨナラじゃないから…。俺が麻耶を迎えに行くから…!!」

そう言って小さい俺たちは約束と口付を交わした。


「一週間後、俺は引っ越して……それから、色々あって会いにいくことが出来なかった…。」

俺は切なさを隠すためにはにかんでみせた。

「うん。親父達の話ではねぇちゃんもあの後病気が酷くなって…。」
橘が俺の知らないその後の事を話してくれた。

もう、会えない。…迎えに行く事のできない最愛の人……俺は今も彼女への想いを断ち切れずにいた。

…あれから15年…。
俺の心は止まったままだ…