錦 side

出雲とわかれてから、俺は、職員室へ向かった。

用があるのはもちろん竹本先生…。
アイツは多分…

俺はポケットにある1枚の写真を見た。
写真には、アイツに雰囲気の似た少女と小さい男の子が映っていた。

ガラッ
「失礼します。」
「お?橘じゃないかどーした?」
職員室のドアを開けると担任と目があった……うるさい。時間がないんだよ。

「竹本先生は?」
担任の会話を無視して俺は竹本先生を探した。

「ん?俺?」
先生もビックリしていた。でも、一瞬、顔を曇らせた。
「そう、。先生だよ。話しあるから来て。」
俺は素っ気なくそう言って手招きをした。

夕方の静まり返った廊下。

「ねぇ。先生」
「ん?」

沈黙を断つように俺は話し出した。
そして、ポケットからあの写真を取り出した。
「この写真の男の子…アンタだろ?」

「…お前、麻耶の……。」
先生は驚いたように目を見開いた。
「弟だよ…。」

「…そっ、そうか。」
先生は、俺の持っている写真の少女(麻耶)を切ない目で見つめていた。

「俺は……。」