「いや……中川さんの前ではちょっと言いづらいんですけど……」
ちら、と中川夫妻を見る。
「構いませんよ、どうぞ」
奥さんが微笑んで促す。
「……優花さんの部屋に行った時、ベランダで学が『根拠はないけど中川さんが怪しい』って……。ルークはその時考え事してたみたいだから適当に返事をしたんだと思うけど、それを肯定したような形になったから……。ルーク、覚えてない?」
「大竹さんに話しかける前の事か?……少し考え事をしていた。そうか、俺のせいだったのか……」
呟くように言うと、ルークは目を伏せた。
「そのベランダでの会話を聞いていた大竹がそれを吹寄に伝え、吹寄がマンションから帰る途中の中川さん達を襲わせた、ということらしいな。
『中川さんが犯人』という推理に乗っかって、中川さんを殺して自殺に見せかければ事件も解決するんじゃないかと思ったらしい。吹寄の誤算は、車に探偵事務所の所員が同乗していて、鬼の様に強かったって事。浅はかだな」
秋山刑事がコーヒーを飲んで付け加えた。
そういえば中川さんを見て「コイツじゃない」って言ってたけど、それはどういう事だったんだろう。

