ーー俺はとある武家屋敷の次男。
兄さまがいるおかげで結構自由にさせてもらってる。
ある日は一匹の白い子犬をもらった。名前をつけるのに苦悩したから、西洋人にありがちな名前をつけてもったのだ。
ある日はお忍びで屋敷から抜け出した。
付き人が後からどうちゃらこうちゃら言ってきたが、兄さまに比べれば軽いものだろう。
少しくらい規則を破っても咎めは説教だけだ。だからいつも抜け出しては怒られている。
そんな繰り返しの日々の中で、ポチが何度めかの脱走を実行した。こいつも暇だからかなぁ。と、ちょっと俺に似てきた部分もあって、何故か夜中に逃げ出した。前に付き人に探させた時は一向に見つからなかったため最近は俺が捜索に出ている。
で、見つかった。いつもみたいに山の中とかではなく路地裏にいた。狭い道をちょこちょこ走り回ってほんと勘弁。
しかも気づいた時には女子の腕の中。
可愛がっていたポチがなんだかとられたような気がして、つい声を荒げてしまったけどしょうがない。
やけに上等な着物を身につけてるもんだから、そんな女子がこんなとこにいるとはどう言うことだ。と、怪しんだところ。

