どこから来たのか問えば、少年は静かに指を差した。透けそうな白い肌を寒さで赤く染めた、細く美しい指が示したのは薄暗い街路だった。 「あそこの、孤児院」 「……孤児院?あそこの?」 「そう」 あの、悪名高き孤児院から。この少年はやってきているのか。こんなに、綺麗な子供が。 薄暗い通りを越えて、陽の当たる明るい方へ。 あの孤児院を抜け出して、このおんぼろな時計台へ? 針が錆びついて、煉瓦は色褪せて、おまけに、悪魔のような生命力を持った薔薇の蔦が絡みつく、街外れのこの時計台、へ?