「隣に、座ってもいいかい」




不思議な少年だ。

冷めた眼をしているけれど、心が冷め切っているわけではないらしい。
明らかな拒絶も、滲み出る嫌悪感も、感じられなかった。




何百年も街を見てきたのっぽの煉瓦に背を預けてもと来た道を見てみれば、心地よく聞こえる自分の心音と共に、確実にここまでの過程を思い出すことができた。


あの丘の上から、随分遠くまで来たものだ。
こんな街外れに。



雪が降ったから浮かれたんだ。

そうに違いない。それ以外ない。




ゆっくりと行き交う少年の言葉は、まるで迷子の子供のようだった。