とても 環境がいいとは言えない孤児院で、毎日毎日1ミリも狂うことなく踊り続ける掛け時計を睨んでいた。 大人も 子供も 人が溢れかえるあの建物の中で、唯一狂わずにいたモノだった。ネジで廻るあれだけが、当然のように壊れた人間たちを日々操っていた。 我が物顔で 世界を廻す 俺の時間は有限なくせに 「誕生日、おめでとう」 「………は」 「君に、言ったんだよ」 「……別に今日、誕生日じゃない」