それは、偶然だった。


「ふざけんなよてめえ!」


「んだよやんのか!?」


―私は偶然、ヤンキーたちが大喧嘩しているところを通りかかってしまったのだ。


…ここ通らないと、家に帰れないんですけど。


どうしようか。今日に限って、いつも隣にいる幼なじみはいない。


「…そーっと通るしか…」


そう覚悟を決め、歩き出そうと1歩踏み出した瞬間。


「っ!」


私の足が捨てられていた空き缶を蹴った。