倉庫に着いた早々、手厚く迎え入れられたが……なんだこれは。
「うっわ、やべぇな……こりゃまるで――」
「暴走族の真似事か?」
二階にあった汚い事務所は見る影もなく、壁は趣味の悪い黒。黒魔術部でもしたいのか。
部屋の中央奥に一人掛けのソファー。その後ろには白文字で“飛騰”と書かれていた。
これは…………なかなかの達筆だ。
ソファーが中央に並べてあり端には誰が持って来たか知らないがパソコンが1台。ハイテクだが使いそうにないだろう。
それと視界に嫌でも入り込む冷蔵庫…………
「盗んだのか?」
「あーそれか」
「ち、違いますよ!それはウチの店で使わなくなったヤツですよ」
「オマエんちは銭湯なのか?」
「いや、居酒屋ですけど…」
「それにしてもミスマッチな冷蔵庫だな、それ」
「まあ、ジョッキクーラーですからね」
「そうか。で、奥の個室はどうなってるんだ?」
「便所は下のまんまですけど、洗面台を外してシャワールームとか作りました。あと、永輝さんはいつも寝てるんで簡易ベッドも置きましたよ」
……オマエ等、職人か。
「あのなぁ、漫画みてぇな暴走族じゃねぇんだから至れり尽くせりじゃなくていいんだぜ?永輝じゃなくて俺になら構わねえけどよ?」
「いや、この倉庫も永輝さんのおかげで使えてるんでこれくらいさせて下さい!下の奴等もそう望んでます!」
「タクヤ、ありがとな。下の奴等にも後で伝えに行く」
「はい!!!じゃあ俺は走りの準備して来ます!」
パアッと明るい笑みを浮かべながらバタバタと部屋を出て行くタクヤに笑みが零れる。
いいやつ等に恵まれたな。
「永輝俺らも行こうぜ」
「あぁ」
タクヤが出て行った後を追うように俺達も続いて出た。
今夜の走りは盛大に楽しもう。
そう、思っていた。
