………なんで気付かなかったんだろう。
ちゃんと玲二の顔見るの……久しぶり。
ねぇ、何やってんの?
目がおかしいくらい虚ろで焦点が合ってないのはそのせいなの?
一緒に居たときもたまに訳の分からない事をブツブツと言って出て行くだけで仕事か女だと思って気にしなかったけど…………
本当にバカな男。
「お前は一生俺と居るんだ。死んでも生きても俺と一緒だから、どうせなら俺を好きなまま死んでくれ。生き延びたらまたやり直せる」
そう言ってナイフを畳んでポケットに仕舞うと倒れて苦しむあたしを一度見て出て行った。
自分で意味不明な事を言ってるなんて気付かないくらい飛んでる玲二は正気じゃない。
興奮状態で居るからまだいい。
もし、なんて事を想像するだけでーー頭痛がする。
「はぁっ、クッ……」
玲二が行ってから張り詰めた緊張が解かれあたしは声を漏らす。
ブロロローっと車のエンジン音が遠ざかると糸が切れたようにあたしは意識を失った 。
流れる血の水溜りが静かに広がっていく。
