モヤモヤする記憶に溜め息が出る。
思い出したい時に限って思い出せないもんだ。探し物と同じ。


「はぁ……」

窓の外は暗闇が広がる。
街灯がぽつりぽつりと間隔を開けて光る光景は薄気味悪い。

ザァーザァーと波打つ音が不気味さを一層際立たせるもんだから その日は何時間もボーッとした。

頭の中を空っぽにして瞑想する。

そうして気付けば朝陽が登り始めてた。

キラキラと朝陽に照らされる海は夜と違って綺麗に見える。


「………あっ」

携帯の時計が9時になった頃、見覚えのある車が来た。

…………玲二だ。

様子を見に来たのか、それとも殺しに来たのか、分からないが玲二が来た。

バクバクと高鳴り出す心臓に吐き気が込み上げて来そうだ。


いつ開くか分からないドアに身を構える。