逃げ出したんだから玲二は怒ってるだろうし、怒り通り越して殺意が芽生えてると思う。
だからあたしは首を絞められた時点で殺されるって思った。
「窓から逃げるなら逃げてもいい」
だけど、玲二は軽く鼻で笑うと部屋から出て行った。ガチャガチャと音を鳴らせて閉まるドアはきっと開かないんだろう。鍵を掛けたって思ったから。
だったら、と窓に駆け寄れば――
「……無理じゃん」
視線の先には地面が程遠く、結構な高さがあることが分かる。壁伝いでも、パイプで掴み降りるにも此処は廃墟。あちこち錆びていて今にも崩れそう。
落ちれば間違いなく、死ぬ。
だから玲二はあぁ言ったんだろう。
『逃げるなら逃げてもいい』
無理だと分かってるから。
やれるもんならやってみろって事でしょ?
窓から玲二の車が走り去るのが見えた。
また、外の世界と遮断されたんだ……
あたしは1人取り残された。
