数分走り続けた車が着いた場所は、潮の香りがする海沿いの廃ビルだった。近くには倉庫がポツンと佇んでいて気味が悪い。
中でも目の前にある廃ビルはホラーっぽくて、使われていないなんて見てわかる。だから電気すら通ってないのは言うまでもない。
「降りろ」
車から引きずり下ろされ、ビルの中に連れて行かれる。嫌だ、なんて抵抗すら出来なかった。
ドアの役目すら果たさない入り口に入り、階段を昇ると鉄製のドアを開けて投げ込まれるように押し飛ばされた。
転びはしなかったけど足が震えてその場にしゃがみこんだ。
「ここ、何処……」
小さな部屋だった。
更衣室のようなロッカーがあり、椅子が1つだけある。壁からは鉄骨が剥き出していて不気味。
「しばらくここに居ろ」
………あたしは、まだ殺されないっぽい。
