プツンと頭の中で何かが切れた。

多分、自由になれた実感と密閉された空間から解放されたあたしは緊張が切れたんだと思う。


あたしは走り出した。
逃げるために。


階段を駆け下りて――閑静な住宅街を抜けて、大通りに出て、家へ向かうためまた住宅街へ入り込んで真っ直ぐ進む。


後はそこの角を曲がれば……家なのに………


「な、んで……」

―――あたしはツいてないんだろう


「携帯さえ持たなきゃ気付かなかった」


そこに居たのは紛れもない玲二だった。