「わけがわからないだと? 深成ちゃんは私の大事な幼馴染だ。守りたいと思うのは当然だろう!」

「そんなこと、俺の知ったことかよ。大体お前がこいつを守るなんざ、思い上がりも甚だしいぜ。こいつはお前のものか?」

 冷静な真砂の言葉に、六郎は、ぐ、と言葉を呑み込んだ。
 口を噤んだ六郎に、再度真砂は馬鹿にしたように笑うと、前を向いてギアに手をかけた。

「んもう。喧嘩しないでって。六郎兄ちゃん、これに懲りずに、また来てね」

 深成が窓にしがみ付いて言う。
 結構あからさまに言い合っているのに、深成には伝わっていない。
 ここまで鈍いのも珍しいだろう。

「深成ちゃん! ほんとに気を付けるんだよ! その人なんかに、気安く近付いちゃ駄目だ」

「何言ってるのさ。真砂だって面白いよ?」

 けらけらと笑いながら、軽く深成が言う。

「と、とにかく! 深成ちゃんは女の子なんだ! 女の子ってことを、もうちょっと自覚しなさい!」

 やきもきと言う六郎に、深成は、わかったわかった、と頷く。
 絶対何のこっちゃかわかっていない。

 ちらりと真砂を窺うと、僅かに口角が上がっている。
 六郎の言いたいことをさっぱり理解しない深成が面白いのだろうが、わかってもらえない六郎からすると、そういう真砂の態度もむかむかする。

「六郎兄ちゃんは心配性なんだから。自分の心配しなよ〜。ほら、もうほんとに行かないとっ!」

 窓から手を出して、ぽんぽんと六郎の胸を叩く。
 これ以上は、ほんとにヤバい。
 後ろ髪を引かれつつも、六郎は頷き、一歩下がった。

 そのとき、真砂が初めて六郎を真っ直ぐに見た。

「この次お前が来る頃にゃ、こいつは『女の子』から『女』になってるかもな」

 にやりと笑う。

「そ、それは、君が……?」

 顔面蒼白になって、呟くように言う六郎に、真砂はただ、ふんと笑った。
 否定も肯定もせず、ギアをドライブに入れる。

「じゃあ、またね〜」

 呑気に手を振る深成を乗せ、真砂のVitzは六郎を置き去りに、走り去っていった。

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 大咄第二弾。まさに『微妙な』色恋模様であります( ̄▽ ̄)
 それにしても、深成は一人称が『わらわ』でも違和感ない(左近だけか?)のに、六郎の『それがし』は、さすがにおかしいだろ、と思って『私』になりました。
 今回真砂は、車を運転しております。車種はVitz。左近と一緒。
 しかしほんとに、ここでの皆さん、いくつなんでしょうか。
 最後に深成のことを『女の子』と言ってますが、実際はシェアハウスにいるわけですから、それなりに大人なはずで。でも行動がアレなわけで( ̄▽ ̄)ほぼ本編と変わらん。
 ていうか、本編の深成は十四になった時点で大人っぽくなってましたが、ここではどうよ。書けば書くほどお子様になる、とは思ってましたが、何か今回は、お子様どころか犬っぽい。豆柴が真砂にじゃれてるような。
 そしてまた一つの節やっちゅーのに、普通に一つのお話として書けるボリュームで仕上げてしまった。

 これ、真砂課長バージョンで書こうかと思ってたんだけど、上司があんまり部下と恋愛絡みで争うのもどうなの、てことで、シェアハウスバージョンにしました。こっちのが、こういうことに関しては自由がきく。

 さてさてこのシェアハウスでの今後、どうなることやら( ̄▽ ̄)

2014/5/13 藤堂 左近