【キャスト】
将軍:真砂 側用人:清五郎 
中臈:あき・深成・千代・ゆい
深成の兄:捨吉
※『とある大奥での夜事情』の続編です※
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 その日もあきは、脇息に寄りかかって、うつらうつらしていた。

「ちょっとあき。大丈夫なの?」

 同僚のゆいが声をかける。

「毎晩毎晩、大変ねぇ。身体もたないんじゃないの?」

「大丈夫よ」

 ふるふると頭を振りつつ、あきが言う。
 ここのところずっと、あきは将軍の寝間の不寝番を務めている。
 通常こんな連続して上様がお渡りになることはないのだが、かれこれ十日になるだろうか。

「それにしても、凄いわねぇ。あの子」

 ずい、とゆいが、膝を進めて声を落とす。

「来た初日から、ずっと上様のお相手をしてるじゃない」

「そりゃあねぇ。初めから上様はそのおつもりで、わざわざ召し上げられたんだし」

 この十日間、真砂はずっと一人の女子に執着している。
 真砂自ら、野駆けで見初めたというその女子は、真砂のお声掛かりで十日前に大奥に上がり、以来ずっと閨を独占しているのだ。

「あの上様を、そこまで夢中にさせるなんて。見た目はいかにも子供だけど、閨が凄かったりするわけ?」

 にやにやと、ゆいがあきに迫る。
 将軍の寝間の不寝番は、閨のすぐ傍に控える。
 間には御簾があるし、背を向ける決まりだが、会話や情事の物音は筒抜けだ。

「ふふっ。それは口外出来ません」

 目尻を下げて、あきはゆいを遮った。
 そして再び、脇息にもたれかかる。

---ああ眠い。さすがに十日間ぶっ続けで不寝番を務めると疲れるわ。まぁ、全く寝られないわけじゃないからマシだけど---

 二人が寝てしまえば、あきだって寝られるのだ。
 ただやはり、普通に寝るときよりは時間は短い。

 それに、会話を聞いて記憶しておかねばならないので、それだけでも結構疲れる。
 あきの場合は、会話や物音によってあれこれ妄想するので、さらに疲れるともいえるのだが。

---でもこんな楽しいお役目を、誰かに奪われるわけにはいかないもの---

 うふふふ、と含み笑いする。

---何と言っても、やっと上様、あの子を抱けたんだものね---

 真砂が所望して大奥に召された深成だが、なかなか伽の相手は出来なかったのだ。
 来たその日に、身体中真っ赤に腫れ上がるほど、古参のお中臈・千代に磨き上げられ、その傷が治るのに時間を要した。