「あ、六郎先生。起きたんだ〜」

 折角熱く深成を庇ったのに、その深成は呑気に六郎を覗き込んだ。
 がく、と心が折れながらも、六郎はキッと真砂を睨み付ける。

「もぅ〜。いくらかけっこで負けちゃったからって、そんなに怒んなくても。六郎先生、真砂先生がここまで運んでくれたんだよ?」

 全く状況を理解していないが、最後の言葉に六郎は、え、と深成を見た。

「救護班っていってもさ、女の子ばっかだし。先生なんて運べなかったからさぁ。真砂先生が、六郎先生を運んでくれたんだ」

「そ……そう……なのか」

 意外な事実に、六郎は毒気を抜かれて不自然に視線を彷徨わせた。
 が、人に言葉遣いを注意しておいて、自分が礼を言わないわけにはいかない。

 そこはきっちりしている六郎だ。
 素直に、真砂に向かって頭を下げた。

「わざわざ、すまなかった」

 真砂は礼については特に何も言わず、ふん、と鼻を鳴らした。

「お前もいい歳こいて、いちごパンツぐらいで鼻血噴いてんじゃねぇよ」

 意地悪く言う。
 その途端、下を向いていた六郎の顔の下のシーツに、ぽたりと赤いものが落ちた。
 みるみるそれは、夕立のような勢いで、六郎の鼻から流れ落ちる。

「わーっ! ちょっと六郎先生っ! どうしたのっ、大丈夫っ?」

「だ、大丈夫……」

 言いつつ上を向く六郎だが、本日三度目の大量瀉血だ。
 そろそろ本気で体内の血液量がヤバい。
 ふらふらと六郎は、ベッドに倒れ込んだ。

 千代の胸が肩に触れたことにも確かに反応してしまったが、それより何より、深成のパンツに反応してしまう。
 自分はもしかして、かなりな幼児趣味なのだろうか、と、心配になる六郎なのであった。

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 六郎の鼻血ブー第二弾。いや、もっとか?
 書けば書くほどキャラが壊れていく( ̄▽ ̄)

 これ、初めは六郎が深成を奪い、真砂は千代を担いで走る予定でした。
 んで途中で深成が六郎から逃れてやり直しになったタイミングで、真砂が千代を落とす、となってチェンジさせようと思ってたんですが、多分真砂は勝負を取りそうだし、六郎はいくら深成が自ら落ちようとしても、落ちたら危ないから意地でも落とさなそうだし、千代はそれこそ意地でも降りなさそうだし。
 てことで、初めからあるべき(?)ペアになりました。

 あ、後半あきちゃんの存在を忘れてしまった。
 でもおそらく、保健室のことも、しっかり覗いてるはず。

 最後の最後で、六郎にしては失礼なことを思っておりますが、真砂だって言うてしまえばロリコンです。
 まぁ、たまたま深成が異様に幼いだけで、実年齢はそれなりだから、問題はない……と思いたい。

 六郎、教師として言ってることは正しいような気はするんですけど、何でしょう、この残念感は( ̄▽ ̄)

2014/09/09 藤堂 左近