苦手なもの

「だめですか…?」 

この、みんなに好かれている先輩。

優しげな瞳に、フレームのないメガネ。

ふわっと笑う彼は、みんなの人気者。

だけど、私にはそんなの興味なくて。

むしろ、こないでほしいくらいだ。

「すみません。イヤです」

泣き出しそうな顔の先輩をバッサリと切り捨てて、私は帰ろうと先輩の横をすり抜けようとした。

…そう。したんだ。

だけど、

──グイッ

「ひゃあっ…!?」

突然腕に熱を感じ、そして引っ張られた。

何事かとそれをみてみると、それは先輩の腕で。

そのまま私は、先輩に連れられるままに教室を出た。

後ろには、女子の叫び声と男子の冷やかしが飛び交っていた。