静けさを取り戻した室内に、一人の人間の影だけが残る。

 ドロイトは再びレリーフに視線を戻すと、悪魔の形相に等しい顔を作ると、信仰を邪魔する愚か者に向けて辛辣な言葉を放つ。

「咎人は消し去らなければならない。罪は全てだ」

 苦虫を噛み潰した表情を浮かべたドロイトであったが、急に救いを求めるような行動に移る。

 そしてレリーフに描かれている竜に敬意を示すかのように祈りを捧げると、そっと唇を当てる。

「……我等が、罪深き者を排除してさしあげましょう」

 次の瞬間、笑い声が響き渡った。

 聖職者は、異端の烙印を押された者を消し去る使命を帯びている。

 だからこそ、好き勝手に動く。

 全ては、自分達の永遠の反応を得る為に――