創造主に認められたから、彼等が跪く。
だから、しっかりしないと――
自ら選び選択をしたからには、その道を進むしかない。
エリザは胸元で手を組むと聖女として生きることを受け入れ、真実を後世まできちんと残していかなければいけないと改めて決意する。
「皆様は、ご無事ですか?」
「凍りついた者達は、氷の中より開放されていました」
閉じ込められた者を誰が助け出してくれたのかは、問わなくても。
レスタが生み出した氷を消せるのは、本人以外にあの方しかいない。
また、あの方は厳しいことを言っても根が優しい。
「……有難うございます」
囁いた言葉は誰の耳にも届くことはなかったが、それで良かった。
この感謝の言葉が、あの方だけに届けばいいのだから。
エリザは優しく微笑むと立ち上がり、これからあるべきことを伝える。
記録者であり代弁者でもある彼女。
その言葉は、人々を正しい方向へ導いていく。
◇◆◇◆◇◆
急に、周囲が静かになった。
そのことを疑問に思ったエリックは自分の背中に腰掛けているフリムカーシに尋ねるが、返って来た言葉は淡々としたもの。
要は、喋りたくないようだ。
「終わったのよ」
彼女の言葉に、エリックは首を傾げてしまう。
どうやらいまいち意味を理解していないらしく、もっと詳しく説明して欲しいと頼むが、フリムカーシの態度は冷たいものであった。
「さて、わたくしも帰らなくては」
「そ、そんな」
「寂しいの? それは、嬉しいわ。でもね、人間は相手にはできないのよ。わかったかしら、ぼうや」
フリムカーシは腰を上げると、エリックを見下しながら言葉を発する。
屈辱とも取れる内容の台詞であったが、エリックは逆に捉えてしまう。
そう、彼にとっては快感の言葉であった。
もっと言って欲しいのか瞳を輝かせ求めてくる姿に、フリムカーシは珍しく動揺していた。
着物の袖で口許を隠すと、汚らわしい物を見る視線を向ける。
しかしそれさえもエリックにとっては嬉しく感じるのか、何処か恍惚の表情を浮かべフリムカーシの辛辣な言葉を待つ。


