「ユー君、友達でしょ?」
「友達ではなくて、同じ職業です。それだけの関係で、それ以上でもそれ以下でも……いえ、それ以下はあります」
「そ、そんな」
訂正されてしまったことが頭の中に響いたのか、エリックは崩れ落ちてしまう。
そして冷たい床に頬を当てシクシクと泣きはじめるも、ユーリッドはそれでも手を差し伸べはしない。
「では、行きますね」
「嫌だ!」
叫ぶと同時に身体を起こすと、ユーリッドに飛び掛る。
しかし、寸前で何か重い物に押し潰されてしまう。
何とエリックの上にフリムカーシが乗り、彼の上で足を組み煙管を吸っていたのだ。
フリムカーシは完全に、エリックを椅子扱いしていた。
重みに耐え切れないエリックは手足をばたつかせ懸命に逃げようとするも、それを許さないフリムカーシは更に体重を乗せていく。
「マスター、お任せください」
彼女の言葉にユーリッドは無言で頷き返すと、エリックを見捨て部屋から退出する。
薄情ともとれる行為に抗議の声を上げるもフリムカーシの体重に負け、上手く言葉を発することができない。
「……レディー……重い」
「あら、女性に体重のことを言うのは失礼なのよ。そういう口が悪い人間は、こうしないと」
刹那、エリックの顔が徐々に青く染まっていく。
どうやら酸欠に陥ってしまったらしく、両手足がピクピクと痙攣していき意識を失うのも時間の問題というところだろう。
その中でエリックは、珍しく根性を見せた。
全身の力を振り絞り、フリムカーシの束縛から逃れたのだ。
「あら、凄いわね。でも、貴方をマスターのもとに行かせるわけにはいかないのよ。御免なさい」
フリムカーシはゆっくりとした動作で立ち上がると、煙管を水平に延ばしエリックの鼻先に向ける。
次の瞬間、エリックの横腹を力任せに殴る。
唐突な行動に、流石のエリックも見切れなかった。
攻撃が見事に横腹に入り悶絶し、そのまま床に倒れてしまう。
エリックを見下ろすフリムカーシは再び煙管を吸うと、クスっと笑みを浮かべた。
これ以上、この件に彼に関わらせるわけにはいかない。
これから先は精霊達の問題であり、この吹雪を止められるのはユーリッド――つまり、リゼルしかいない。
それに、彼が行けば問題がややこしくなるのは必至。


