「煩い。精霊使いの分際で」
「我等に力を与えなかった、あの方が悪いのだ」
「力さえあれば、あのようなことは行わなかった。そうだ、全てあの方が原因で起こった出来事だ」
次々に述べられていく自分勝手の傲慢な内容に、人間という生き物の本質が表れていた。
所詮、自分達が良ければ他者はどうでもいい。
だからこそ、自分達を生み出した存在へ牙を向ける。
「それが、本音か……」
「お前とて、学者という身分でありながら精霊を従えている。同じ穴の貉――代わりはしない」
その発言に、ユーリッドは不適な笑みを浮かべる。
同類――それは違い、気付かない彼等が悪い。
それに身に余る力は自身を滅ぼすもので、結果として力を得た代償は精霊を敵に回す。
「お前達の凝り固まった考えも、ここまで来ると大したものだ。今となれば、何とでも言える」
「何?」
「私は、お前達をそのように創った覚えはない」
ユーリッドの発言に聖職者は互いの顔を見合し、何やら話しはじめる。
すると堰を切ったように笑い出し、それを非難していった。
そして一斉にユーリッドを見下し、言葉を叩き付ける。
「何を言う。貴様が、あの方になったつもりか。それこそ、おこがましいというものではないか」
「真実に背を向けた者が、言うことではない。私は覚えている、あの時の痛み苦しみを……」
恰も自分が創造主のように語るユーリッドに怒りを覚えたのか、修道士の格好をした若い男が胸倉を掴み、自身の近くへ引き寄せる。
「愚弄するな」それは囁くような声音で発せられた言葉であったが、其処にいた全員の耳に届いく。
そして次の瞬間、鈍い音が響いた。
男が、ユーリッドを殴ったのだ。
そして異端者を痛めつけることに快感を覚えたのか、男の顔は歪み身体を震わせながら笑っている。
誰も、この行為を咎めようとはしない。
異端者は教えに背いた犯罪者で、何をやっても許される。
だから、相手を殺そうと文句は言われない。
しかし、それが甘い認識だと知る。
この行為によりレスタに切っ掛けを与えてしまい、男が再び殴ろうと手を上げた瞬間身体が空を飛び壁に叩き付けられてしまう。
見えない何かによって首を押さえつけら宙吊り状態となってしまい、男は空に浮く足をばたつかせ必死の抵抗を見せる。


