暖炉に火が入った。
点けられた炎は赤々と燃え部屋の中に温もりを広げていき、人々の口から息が漏れる。
全身を包み込む温かさが、気持ちがいい。
しかし暫しの安らぎ――それも、終わりを迎える。
扉か開かれた入室してきたのは、先程までユーリッド達の側にいたドロイロだった。
取調べをしていた者達は反射的に立ち上がると相手に向かって一礼をするが、エリザはそれに従わない。
「どうだ?」
「思った以上に、強情です」
「そうか。では、私が代わって尋問しよう」
「ところで司教様。あの者達は……」
その質問に、ドロイロはその無礼者に視線を向ける。
鋭く聖職者とは思えない眼光に相手は戦き詫びるも特に怒る様子は見せず、寧ろエリザに聞かせるかのように大声で話はじめる。
「ふてぶてしい連中だ。我々を崇めようともしない。流石教えに背いた者達だ暴言が多い。精霊を従える少年……あの者は、私の神経を逆撫でする。全てをしったような口ぶり、我等を愚弄しよって」
「奴等の処遇は、いかがいたしましょう」
「そのようなこと、はじめから決まっておる」
ドロイロは、人差し指で喉元を掻っ切るような動作を見せる。
殺せ――それが、異端者への罰。不必要な者、存在してはならぬ者は抹殺するのが彼等のやり方で、誰一人として反論はしない。
だが、エリザは違う。
彼女は腰掛けていた椅子から立ち上がると、この世界の成り立ちを語りはじめる。
世界は、人間の物ではない。エリザが訴えたいのはこれであり、今までの考え方は人間を中心にしたもの。
人間という生き物は数多く創造された一握りの存在で、そのような生き物が世界を統べるのは正しいことではない。
エリザは彼等に、裏切り者の烙印を押されても構わないと思っている。もとより人は生まれながらして罪の烙印を押されており、それから逃れることはできない。
「彼等が言っていることが、本来の神話です。私達こそ、正さなければいけません。どうか、信じて下さい」
「何故、そう言える」
「そ、それは……」
自身が、この世界の創造主に出会ったから。
正直に話すことができたとしたら、どんなに楽なことか。それでも言葉として表すことを躊躇い、先程の威勢が消えてしまう。
何ゆえそうなのかはエリザ自身にもわからないが、本能が「話してはいけない」と、訴えてくる。


