彼等は何者か。
聖職者にとって、それが一番恐ろしいことであった。
つまり何も知らない者達に真実を知られてはいけないからこそ、エリザを問い詰め続ける。
だが、問い詰める必要などないく彼等はユーリッド達の正体を知っている。
知っていながら質問し、エリザの忠誠心を図った。
「何を聞いたのか知らないが、異端者の言葉など信じるに値しない。そう、我々の言葉を信じればいい」
「それは、偏見です」
「偏見? 奴等は、神話の嘘を語っているだけだ。そして、多くの者を洗脳しようとしている」
千年前、人間はこの世界の創造主の血肉を求めた結果、大勢の人間が精霊によって殺されてしまう。エリザはこの事実を最初は受け入れることができなかったが、ユーリッドの正体はこの世界の創造主。彼の口から語られたということはまぎれもない事実であり、全身の傷が痛々しい。
「では、何故世界は滅びたのですか?」
「それは、我々の驕りが招いた結果だ。しかし、あの方は救ってくれた。罪を許してくれたのだ」
偽りの神話をあたかも本物のように雄弁と語る同胞だった者の姿に、エリザは嫌悪感を覚える。
また、精霊がどうして人間を忌み嫌っているのかその理由がわかったような気がする。
滅べばいい。
脳裏に、冷たく刺すようなレスタの視線が過ぎる。
あの視線こそ人間の罪の象徴であり、創造主に歯向かった代償はあまりにも大きいものだと知らしめる。
人間は罪を認め、それらを清算していない。
ツケは廻りに廻りや刃となり人間に襲い掛かってきた時は、もう遅いのだから。
「それにしても、寒いですね」
何気ない言葉に、エリザは過敏に反応を示す。
しかし他の者は、特に気にするような素振りも見せない。
エリザはこの寒さの異常の理由を知っており、同時に世界の終末が近いことを知る。
「仕方ない、暖炉に火を入れろ」
「この時期では、珍しいことだ」
「何、季節の精霊の早とちりだろう」
冗談に近い発言に部屋の中に笑い声が響くが、エリザは笑うことはできない。
取り調べを受けている立場という理由も関係していたが、同時に“彼”という存在の本質を知っているからだ。
非情で残忍で冷酷――それがこの寒さを生み出している精霊、そうレスタである。


