「楽しそうだ」
「楽しいとは思いませんよ。此処の環境が、悪いですし。もう少しいい環境なら、いいのですが」
「残念ながら、これ以上の部屋は用意することはできない。それに、お前達には充分すぎる」
「ケチだね。聖職者も」
痛む額を撫でつつ、エリックはポツリと呟く。
彼の発言が気に入らなかったのか、聖職者の眉が微かに動く。
それを見逃さなかったエリックはフッと笑みを浮かべると、更に言葉を続けた。
「信者からの寄付金を利用したらどうか。結構、貰っていると思うけどね。そのデブデブっとしたお腹が、何よりの証拠だよ。寄付金が正しく使われていないと知ったら、信者は何と思うか」
痛いところを突かれ、聖職者の顔が歪む。
そして側にいた人物に牢を開けるように命令をすると、指を鳴らしだす。
その行動にエリックはそっと舌打ちすると、次の行動を予知する。
「嫌だね。暴力に訴える聖職者って」
まさにそれは、常套手段と言うべきか。
気に入らない相手、言うことを聞かない相手は徹底的に痛め付けていく。
このような人物が精霊に仕えているというのだから、何かが間違っている。
「彼女は、どうしました?」
「彼女? ああ、あの修道女は取調べをしている。あの者が終わったら、次はお前達の番だ」
その説明に、再びエリックが舌打ちをしていた。
どうやら修道女であっても彼女の身が心配なのだろう、そっとユーリッドに耳打ちし、彼女の安全が保障されているかどうか尋ねる。
「何、コソコソと話している」
二人の行動のひとつひとつが気に入らないのか、鍵が開けられた牢の中に入るとエリックの身体を蹴り飛ばす。
その反動でエリックは転がり、後方の石の壁に頭をぶつけてしまう。
「痛っ! 何をするんだ」
「お前の顔が、気に入らない」
「理由になっていませんよ」
聖職者に向かいそう言い放つと、ユーリッドはエリックの側に行き大丈夫か心配する。
彼は痛みに呻き声を上げていたが、どこも異常は感じられない。
彼が無事のことに安堵の表情を作るも、安心している暇などない。
彼等は次にユーリッドに狙いを定め、汚い言葉を放つ。


