好奇心に突き動かされるまま、それがどのような物なのか確認する。
それはボロ雑巾のように引きちぎられた布で、今は完全に色褪せてしまい基の色を判別するのは不可能であった。
そのボロ布に、袖口らしきものを発見する。
それから推測すると誰かの服だったのだろう、次の瞬間エリックの悲鳴が響き渡る。
どうやら、想像してはいけないことを想像してしまったらしい。
「何ですか、煩い」
「ユー君! こ、これ……」
目の前に差し出された布に、ユーリッドは鼻を摘む。
エリックは何も感じていないのか、布は物凄い悪臭を漂わせている。
深緑の色彩はカビだろうか、それにネズミの糞らしき物がこびりついていた。
「な、何だと思う?」
「その前に、置いてもらえます」
「何で?」
「臭いからです!」
しかしエリックは、間の抜けた表情を作っている。
どうやら嗅覚が麻痺しているのか、ユーリッドの怒鳴り声に渋々それを床の上に置くと自分が見付けた物の正体を的確に語っていく。
「そうでしょうね」
「や、やっぱり……」
「此処は、人間を閉じ込めておく場所です。そのような物があっても、おかしいとは思いません」
「ああ、見付けなければよかった」
冷静な態度を取り続けるユーリッドに、エリックは両手を上げおかしなポーズを取る。
どうやら彼なりの驚きのスタイルなのだろう、ユーリッドは冷ややかな視線を送ってしまう。
その容赦ない態度にエリックは手を振りながら「怒らない」と言うも、ユーリッドの態度が変わることはない。
それどころか辛辣な言葉を発し、おかしなポーズを止めて欲しいと頼む。
「ユー君は、幽霊を信じる方?」
「何ですか、唐突に」
「ほら、このような場所って……」
刹那、規則正しい足音が響き渡る。
その音に身体を震わせユーリッドに抱きつこうとするエリックだったが、寸前でかわされ石の床に額をぶつけてしまう。
何とも冷たい対応に抗議をしようと顔を上げるも、一瞬にして表情が変わる。
そう、足音の主は聖職者であったからだ。


