風の放浪者


 レスタとフリムカーシが発するオーラはそのことを示していた、エリザは気付いていない。

 唯一気付いているユーリッドは何も言わず、真実を隠す聖職者が素直に聞き入れるわけがないと嘆いた。


◇◆◇◆◇◆


 なかなか起きないエリックを強制的に起こすと、三人は街へ向かった。

 フリムカーシはレスタの手伝いに向かい今は側にいなかったが、場合によっては姿を見せるだろう。

 聖職者が相手となれば、彼等は非情になれる。

 そしてエリックが話していた以上に、警戒は厳しかった。

 一人の人間を捕まえる為にここまでやるかと思ってしまうが、これは彼等の面子に関わる問題。捕まえ処分しなければ気が済まない。

 それに、エリックが異端審問官を気絶させた。このこともユーリッドが原因だと思われていることは、間違いない。

 余計なことを――反射的エリックを睨み付けてしまうが、起こってしまったことを後悔しても遅い。

 聖職者の目を盗み、エリックが使用している宿に向かう。

 そして彼等に気付かれないように窓から下を覗くと、数人の聖職者が走っていた。

 その姿に、ユーリッドは盛大な溜息をつく。

 自分達の裏の姿を知られないように、余計な人間を排除する。

 効率的な行為とも思えるが、排除される方は堪らない。

 その時、エリックが部屋の中に入ってくる。どうやら外の様子を見てきたようだ。

「うん。凄いね」

「どうしてそのように軽いのですか」

「だって、このようなこと滅多に体験できないし」

「そうですか。危機感の欠落も、いいところです。で、外はどうでしたか。いつものお笑いは、不必要です」

「だから、凄いよ」

「簡単に、言いすぎです。もっと詳しく言ってください」


 厳しいユーリッドの口調にエリックは両腕で自分の身体を抱き締めると、嫌々と首を左右に振る。

 その気持ち悪い光景にエリザは思いっきり紅茶を噴出し、胸元を押さえつつ咳き込んでしまう。

「修道女も悩殺」

 エリザの身を案じたユーリッドが、エリックの腹に拳を入れ強制的に黙らす。

 これ以上被害者を増やしてはいけないので、彼の攻撃に優しさは感じられない。

 また拳が入った場所が悪かったのか呻き蹲るが、誰も助けてはくれない。

 それどころか、相手を見下している。